目 次

 認定申請の方法には次の4通りがあるが、①〜③はマンション管理士などに依頼する必要があるのに対し、④は自力申請が可能な方法であり、当ブログでは④のパターンで申請する方法について説明します。
 ① マンション管理士に事前確認を依頼する方法
 ② 管理会社(マンション管理業協会)に事前確認を依頼する方法
 ③ 日本マンション管理士会連合会に事前確認を依頼する方法
 ④ マンション管理センターに直接、事前確認を依頼する方法

 ④の方法による認定申請の流れは下図のとおりです。

 貴マンションの管理規約が国交省の標準管理規約にどの程度準拠しているか、長期修繕計画の様式が国交省の標準様式に準拠しているかを確認します。
 滋賀県大津市のマンション管理実態調査報告書によると、標準管理規約を参考に作成しているマンションは80%、国交省の長期修繕計画作成ガイドラインを参考に作成しているマンションは77%となっており、本ブログでは管理規約が国交省の標準規約を参考として作成されており、長期修繕計画の様式も国交省の標準様式に則って作成されていることを前提とします。
 ◾️ 標準管理規約はコチラ
 ◾️ 長期修繕計画の標準様式(総括表)はコチラ

 認定基準と基準をクリアしているかを確認する書類はコチラを参照してください。

1 理事長を置いているか

 標準管理規約の第35条第3項には「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議によって、理事のうちから選任し、又は解任する」とあり、規約にこうした条文がある場合は、理事長を置いていることの確認資料は、『管理規約』『認定申請を行う理事長の選任を決議したときの理事会の議事録』となります。


2 監事を選任しているか

 標準管理規約の第35条第2項には「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する」とあるので、監事を選任していることの確認資料は、『監事の選任を決議したときの総会の議事録』となります。


3 総会を年1回以上開催しているか

 確認書類は『認定申請日の直近に開催された総会の議事録』(議⻑と議⻑が指名する2名の組合員の署名が必要)です。認定申請日は「管理計画認定手続支援サービス」のなかの「認定申請」ボタンをクリックする日であり、事前確認申請を行う日ではないことに注意が必要です。なお、「管理計画認定手続支援サービス」の案内書によると、「事前確認審査には1~2ヶ月程度の審査期間が必要」となっているので、認定申請日は事前確認申請日の1~2ヶ月後となります。


4 管理規約を作成しているか

 確認書類は『管理規約』の全体版です。


5 専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定めているか

 「災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分への⽴ち⼊りについての定め」とは、標準規約第23条に相当する規定であり、「修繕等の履歴情報の管理等についての定め」とは、標準規約第32条第6号に相当する規定を指します。第23条第4項は2016年の標準管理規約改正で追加された条文で、貴マンションの規約が2016年以前の標準規約に準拠している場合、この条文が入っているかどうかを確認します。確認書類は、標準規約第23条と第32条第6号に相当する規定のある『管理規約』です。


6 管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付について定めているか

 「管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付についての定め」とは、標準規約第64条第3項に相当する規定で、この規定のある『管理規約』が確認書類となります。


7 管理費と修繕積⽴⾦を区分経理しているか

 確認書類は『認定申請日の属する事業年度の直前の事業年度の総会において決議された管理組合の貸借対照表及び収支計算書』です。したがって、事業年度が4月〜翌年3月(通常総会は5月開催)のマンションの場合、認定申請が2025年4月以降になるのであれば、2024年度の通常総会(2025年5月開催)で決議された書類の添付が必要となるため、事前確認の申請は2025年5月の通常総会後になります。逆に、2025年4月末までに認定申請を行うのであれば、2025年1月には事前確認申請ができるように準備を進める必要があります


8 修繕積⽴⾦会計から他の会計へ充当していないか

 確認書類は上記7と同じ『貸借対照表及び収支計算書』。修繕積⽴⾦会計の収支計算書における支出項目に計画修繕以外の項目がなければオーケーです。
 (参考)標準規約第28条第1項
  ・・・修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
   一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
   二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
   三 敷地及び共用部分等の変更
   四 建物の建替え及びマンション敷地売却に係る合意形成に必要となる事項の調査
   五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理


9 直前事業年度の終了⽇時点で修繕積⽴⾦の3ヶ⽉以上の滞納額が全体の1割以内か

 確認書類は上記7と同じ『貸借対照表及び収支計算書』『直前の事業年度の各月において組合員が滞納している修繕積立金の額を確認することができる書類』。後者の滞納額が確認できる書類としては、管理会社が作成している入金実績表などが該当します。
 基準の「全体」とは、「直前の事業年度において各⼾から徴収すべき修繕積⽴⾦の総額」を指します。この総額は、発生主義で会計管理を行っている場合は、修繕積立金会計の収支計算書における修繕積立金収入の額となります。したがって、確認方法は、「3ヶ⽉以上の修繕積立金滞納額」を「収支計算書における修繕積立金収入の額」で除した割合を調べることになります。


10 長期修繕計画は標準様式に準拠し、これに基づき算定された修繕積立金額について総会で決議しているか

 確認書類は、国交省の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成された長期修繕計画(19の工事項目があることが必要)の総括表その長期修繕計画の作成(変更)を決議したときの総会議事録です。
 なお、工事金額の入っていない工事項目がある場合には、その理由を説明した補足資料の提出が必要となります。


11 長期修繕計画の作成又は見直しを7年以内に行っているか

 確認書類は、10と同じ『長期修繕計画の作成(変更)を決議したときの総会議事録』です。長期修繕計画の作成(変更)に関する総会承認日が認定申請日の7年以内である必要があります。


12 計画期間が 30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕が2回以上含まれているか

 確認書類は、10と同じ長期修繕計画の総括表です。長期修繕計画が国交省の長期修繕計画ガイドラインに沿って作成されていれば、計画期間は30年になっていますし、大規模修繕工事が2回含まれているものとなっています。ただ、すでに1回目の大規模修繕工事が実施されている場合は、残存期間内に大規模修繕が2回以上含まれているかについて確認する必要があります。


13 一時的な修繕積立金の徴収を予定していないか

 確認書類は、10と同じ長期修繕計画の総括表です。「一時的な修繕積立金の徴収」とは、次の①と②の両方に該当する修繕積立金の徴収を指し、これに該当する修繕積立金の徴収が予定されていないことが必要です。
 ① 大規模修繕工事を開始する事業年度の前々年度の開始日から、工事を完了する事業年度の翌々年度の終了日までの修繕積立金総額の増額幅が2倍以上となっていること
 ② ①の増額期間が大規模修繕工事の開始の前々年度以降から工事完了の翌々年度以前までに限ったものであること


14 修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないか

 確認書類は、10と同じ長期修繕計画の総括表です。
 修繕積立金の月当たりの平均額は下記の計算式で算出し、この額が「マンションの修繕積立金に関するガイドラインで示す金額の目安を設定する際に参考とした事例の3分の2が包含される幅の下限値」を上回っていることが必要です。

計算式と比較する下限値
計画期間全体における月当たりの修繕積立金の平均額=(A+B+C)÷X÷Y
 A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
 B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
 C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
 X:マンションの総専有床面積(㎡)
 Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)

《下限値》
 【20 階未満】 5,000 ㎡未満→235円
        5,000 ㎡以上~10,000 ㎡未満 →170円
        10,000 ㎡以上~20,000 ㎡未満→200円
        20,000 ㎡以上 →190円
 【20 階以上】→240円


15 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっているか

 確認書類は、10と同じ長期修繕計画の総括表です。長期修繕計画の最終年度において借⼊⾦の返済が終了していることが必要です。


16 組合員名簿、居住者名簿を備え、1年に1回以上は内容の確認を行っているか

 確認書類は、「組合員名簿及び居住者名簿を備えるとともに、年1回以上更新している」旨の記載がある『表明証明書』です。名簿自体の提出は必要ありませんが、「名簿の内容を確認のうえ、名簿の内容に変更があれば変更内容を名簿に反映する」という作業を1年に1回以上行わなければなりません。
 表明証明書のサンプルは次のとおりです。

      表明保証書
都道府県知事等  殿
1. 当管理組合では、組合員名簿(区分所有者名簿)を備えており、年一回以上更新していることを表明し保証します。
2. 当管理組合では、居住者名簿を備えており、年一回以上更新していることを表明し保証します。

  年 月 日
    マンションの管理組合名
    マンションの所在地
     理事長名

17 都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものになっているか

 認定申請先である自治体によっては独自の認定基準が設けられている場合があるので、必要となる書類を確認してください。


18 総会で管理計画認定の申請について決議しているか

 管理計画認定の申請を行うには総会の承認が必要です。ちなみに、標準規約の第48条第8号には、総会の決議事項として、①管理計画の認定の申請、②管理計画の認定の更新の申請、③管理計画の変更の認定の申請が記載されています。
 確認書類は「管理計画の認定の申請」を決議した総会の議事録です。議案書の書き方に決まりはありませんが、サンプルを示すと次のようなものです。

第○号議案
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正により創設されたマンションの管理計画認定制度の申請を行うために、認定申請等の決議をご提案します。審議をお願いします。
【決議事項】
1.マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3第1項の規定に基づき、管理計画の認定を申請する。
2.認定申請にあたっての詳細は理事会で決定する。

19 代理人は行政書士の資格を有しているか

 理事長の代理として行政書士が認定申請を行う場合は、確認書類として『行政書士証票』が必要となります。


20 理事長が代理人に認定申請を委任しているか

 理事長の代理として行政書士が認定申請を行う場合は、確認書類として『委任状』が必要となります。
 委任の内容としては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3第1項の規定に基づくマンションの管理計画認定制度の申請に関する一切の件」といったもので良いでしょう。


 事前確認に必要な書類が揃い、申請の準備が整ったら、管理計画認定手続支援サービスを利用して事前確認申請の入力作業を始めます。事前確認申請の入力項目と内容はコチラを参照してください。

 申請情報の入力が終了したら、添付書類のアップロードを行います。添付書類についてはコチラを参照してください。